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睡眠時無呼吸症候群の原因や治し方は?自力で行わず検査や治療を!

寝ている最中に呼吸が止まったり、呼吸が浅くなり、低酸素状態になってしまう睡眠時無呼吸症候群。一人暮らしではなかなか自覚するのも難しいですが、家族と暮らしていたり、一緒に寝る人がいると、自分が無呼吸症候群かもしれないと気が付けるのですが、自分が睡眠時無呼吸症候群だと受け入れれない人もいます。

そこで、何故睡眠時無呼吸症候群になってしまうのか、その原因や治し方について紹介していきます。

目次

睡眠時無呼吸症候群の主な症状

閉塞性睡眠時無呼吸症候群では激しい鼾(いびき)がみられるのですが、中枢性睡眠時無呼吸症候群では特徴的ないびきはみられません。閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきは、通常の一定リズムではなく、しばらく無音のあと著しく大きく音を発するという傾向・特徴を持っています。同居者がいてもこの病気に関する情報を持っていなければ、単に「いびきをかきやすい性質」としか認識されず、治療開始が遅れることもありえます。その他、以下のような症状が挙げられます。

・就寝中の意識覚醒の短い反復、およびそれによる脳の不眠
・昼間の傾眠傾向
・抑うつ
・頻回の中途覚醒
・集中力の低下
・睡眠時の無呼吸状態
・夜間頻尿(2型糖尿病になりやすくなる)
・起床時の頭痛
・インポテンツ
・月経不順
・呼吸性アシドーシス
・腓(こむら)返り

家族などの同居者がいない場合、この病気の発見は非常に遅れてしまいます。特に自覚症状が弱い場合は誰にも発見されないため、その状態が徐々に悪化して深刻な問題を起こしてしまうこともあります。よくある深刻な問題の例は、自動車の運転中に強い眠気が発生し運転操作を誤って人身事故になることであります。そしてこういう事故をきっかけにこの症状を知るというケースが目立っています。この病気が一般社会に知られるようになったのも、患者が起こした事故の報道によるものでした。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の合併症

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は単に寝ている最中に呼吸が止まったりするだけではなく、怖い合併症を引き起こすリスクがあります。

・肥満
・高血圧
・高脂血症
・不整脈
・多血症
・虚血性心疾患
・脳血管障害
・糖尿病

など。動脈硬化性疾患の危険因子でもあるので、尚更気を付けなくてはいけません。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は、ほとんどの場合上気道の閉塞によって無呼吸、低呼吸が起きるために発症します。

【閉塞の原因】
・形態的な異常:肥満に伴う上気道軟部組織への脂肪沈着、扁桃肥大、巨舌症、鼻中隔彎曲症、アデノイド、小顎症など
・機能的異常:上気道筋の活動度の低下など

睡眠時無呼吸症候群の原因はこのように、気道に関する事が殆どです。自分が何故睡眠時無呼吸症候群になってしまったのか、その原因が正確にわからないと治療法も異なってくるので、専門医に診断してもらい、適切な治療法を行う事が必要です。

睡眠時無呼吸症候群の診断

1:日中の眠気の評価
患者さんの日中の眠気を評価するために、ESS(エプワース眠気尺度)問診票が知られています。24点満点で評価されますが、11点以上で日中の眠気が強いと判断します。

2:睡眠障害の検査
睡眠時無呼吸症候群の診断には、簡易検査(アプノモニター)と脳波を含めた精密検査(ポリソムノグラフィー;PSG)の2種類があります。簡易検査は外来でも出来ますが、精密検査には入院が必要です(『睡眠時無呼吸症候群のための入院検査を受けられる方へ』も参照下さい)。睡眠の精密検査で、呼吸が止まったり、浅くなったりする回数(無呼吸低呼吸指数;AHI)が1時間に5回以上に増加すると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。一般的には、この回数が20回以上に増えた場合に、鼻マスクによる持続陽圧呼吸療法の適応になると考えられています。この基準は、20回以上の患者さんの寿命が、20回未満の患者さんよりも短いことなどから決められており、睡眠呼吸障害研究会によるガイドラインにも記載されています。

3:口腔内のチェック
病態の部分でも記載しましたが、耳鼻科的診察で、のどの奥や顎の形に異常がないか確認することも必要かもしれません。頭部CTやセファログラムという頭部レントゲン検査を行うことがあります。

4:合併症検査
必要に応じて、睡眠時無呼吸症候群に合併するとされる、高血圧、高脂血症、糖尿病などの検査を行う必要があります。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法

睡眠時無呼吸症候群の原因や治し方は?自力で行わず検査や治療を!

減量療法
患者が肥満者の場合、減量により上気道周辺の脂肪の重さによる狭窄を改善します。

持続陽圧呼吸療法
nasal CPAP(nasal continuous positive airway pressure; 鼻シーパップ、ネーザルシーパップ)装置よりチューブを経由して鼻につけたマスクに加圧された空気(陽圧の空気)を送り、その空気が舌根の周囲の軟部組織を拡張することで吸気時の気道狭窄を防ぐ方法。

CPAP装置には大きく分けて2タイプあり、ひとつは固定CPAPと呼ばれ、もうひとつはオートCPAPと呼ばれています。いずれも日本国内では保険診療として認められており、1ヶ月当たり5,000円弱で利用することができます。一般的には保険診療扱いで「装置をレンタルして使う」ようなスタイルのため、症状の有無に関わらず1ヶ月に最低1回は担当医師の診察が必要でありますが、通院が困難な場合などはCPAP装置を購入するという選択肢もあります。

固定CPAPは、患者があらかじめ検査入院するか計測器を自宅で取り付けて適切な圧力を測定し、それを医師が装置に設定し、患者が使うものです。設定値が高い場合、患者の入眠が妨げられることもあるため、始動時からある程度の時間は弱い圧力で作動し、徐々に設定した圧力に変わるようになっているものがあります。

オートCPAPは設定を必要とせず、患者の状態に合わせてリアルタイムで圧力が変化するようになっています。また、オートCPAPにはデータを記録するための機能を持っており、そのデータを医師が回収して分析することも可能です。

CPAP装置から鼻マスクへ送出される空気の気圧は、症状や体格により異なるが、4~20cmH2O程度です。どうしても処方直後は不快感を持ちやすく、睡眠中無意識に鼻マスクを外してしまうことがあります。機種によっては、このような場合に警告音を鳴らすことができます。CPAPの普及に伴い、不快感を減少させるための工夫が年々行われています。どのような形式の鼻マスクであれ、調整用のバンドが付いているので快適な装着感が得られるまで調整を繰り返し、できるだけ早く慣れるように試みるのが基本です。

鼻マスクは、あえて空気が漏れやすい構造になっています。作動時は常にシューという空気の摩擦音が発生しますが、これは異常ではありません。潜水用の酸素マスクのような、呼吸に連動して作動するバルブは付いておらず、息を吐き出したらスムーズにマスクの外へ流れるようになっています。機種によっては、息を吐く時だけ圧力が下がるものがあります。

特に冬季は、冷たい室内の空気が加圧されて送られるため、冷たさや乾燥を伴うことがあります。CPAPの機種によっては(オプションパーツの場合も含め)加湿器・加温器を備えているものがあります。これを用いることで不快感を減らすことができますが、過度に加湿・加温した場合、かえって不快感が発生することがあります。その場合はCPAP側で対応するのではなく、寝室の空調で対応すると解決しやすいです。

CPAPにはコンパクトで効率の高いエアフィルターが付いています。花粉やハウスダストなどによるアレルギー症状を持つ患者には、オプションパーツとしてアレルゲン対応のエアフィルターが提供される。どのようなエアフィルターを用いる場合でも、定期的な洗浄・清掃は不可欠です。

CPAPの利用者は、宿泊を伴う移動の際は必ずこの装置を携行しなければなりません。そのため、CPAPは携行の便を考慮したリュックサックやショルダーバッグのようなケースに収めて提供されます。特にビジネス目的の移動では、装置を携行しなかったために移動先での活動が不十分になってしまうようなリスクに留意する必要があります。重さはだいたい1~3キログラムであるが中には1kgを切るとても軽い機器もあります。

スリープスプリント(マウスピース)療法
スリープスプリント(マウスピース)を用いて下顎を前進させた状態を固定し、気道の狭窄を防ぐ。肥満体でなく下顎の小ささに由来する原因が主な対象です。

外科的治療(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)
口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋の一部を切除し、気道を広げる。

診療科
神経内科(睡眠外来のあるところ)、耳鼻咽喉科、呼吸器科などが適しています。軽度の場合は、医科からの紹介により歯科・口腔外科でスリープスプリント療法が行われることがあります。

睡眠時無呼吸症候群の疫学

閉塞性睡眠時無呼吸症候群においては、肥満者は非肥満者の三倍以上の発症リスクがあるとされています。日本人は欧米人よりも肥満度は低いのにもかかわらず、有病率は欧米に劣らないという報告もあります。これは、いわゆる東アジア人の顔面骨格構造のために発症しやすいのではないかと考えられています。いずれにせよ、肥満は睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めるという医学的見地に基づいた意見が一般的です。

NHKスペシャルの「病の起源」によれば肥満体型の人のほかにも、顎の小さい人もなりやすいとも言われています。顎の小さい人は同時に気管が狭く、気管狭窄になりやすいともいわれています。また、人類の顎は時代が経つにつれて小さくなりつつあるといわれています。これは、人類が食料不足を解消するため、これまで口にしてこなかった動物の内臓や骨の髄などの柔らかい部分を食料にしたことで、顎を使う機会を減らしていったと考えられています。そうした影響で人類の顎は次第に小さくなり、ついには睡眠時無呼吸症候群になりやすい骨格へと変わっていったと考えられています。この睡眠時無呼吸症候群を宿命病の一種と考える学者も多いです。総じて、やせていてもあごが小さくてえらが張っていない小顔の人は睡眠時無呼吸症候群になりやすいとされています。

睡眠総合ケアクリニック代々木の伊藤永喜によると、性差もあるそうです。舌も含めた筋肉が加齢でゆるんでいくため、男性は30代以降に患者が増え始め、年齢と共に症状が悪化するケースが多くなります。女性の場合は閉経後に発症する例が多く、ホルモンとの関係が指摘されており、女性は50代がターニングポイントと言えます。

ハーバード大学医学部によると、男性の15%から30%が睡眠時無呼吸を経験し、体重増加の10%ごとに、睡眠時無呼吸の発生率は6倍に増加します。

睡眠時無呼吸症候群の社会的側面

新幹線の運転士やトラックの運転手など、人命に直結する職業に就いている者の中にもこの病気が隠れていることが話題となり、問題として取り上げられるようになりました。

その例として2003年2月26日、岡山駅に入線してきた山陽新幹線ひかり126号の運転士が居眠りをしたまま時速270kmで約8分間走行し、ATCの確認扱いができなかったためにATCが作動し、列車が本来の停止位置の100メートル手前で止まるというインシデントが発生しています。2016年9月には、米国のニュージャージートランジットの運転手がこの病気で意識を失い、列車がホーボーケン駅に衝突して一人が死亡しました。そのほか日本では、2012年に発生した関越自動車道高速バス居眠り運転事故の被告である運転士が、この病気を発症していたとされています。 

また職業柄、大相撲の力士にもこの病気が多く、横綱大乃国、白鵬などがこの病気に悩まされたそうです。なかでも大乃国は現役時代の1980年代後半にこの病気にかかって成績不振となり、好角家の間に睡眠時無呼吸症候群の名を一躍有名にしました。

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